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結果は、散々なものだった。
ただでさえ道らしい道も見当たらないのに、奥へ行くほど木々の感覚は狭くなる。
それに加え途中から、腰の高さまであろうかという茂みが現われた。
動くたびに茂みはむき出しの足を擽ったり、引っ掻いたりと好き放題。
おまけに突き出た枝に服や髪を引っ張られると、そのたびに立ち止まらなくてはいけなかった。
ぐずくずしているうちに声が消えてしまう気がして、少女は焦っていた。
「 ――ああ、もう! 」
何度となく繰り返した言葉を、また吐き出す。
今度は幅の広い襟元から垂れる細長い布が、枝に引っ掛かったらしい。
無理に引っ張ると千切れてしまいそうなので、慎重に枝から外す。
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