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「清美、もう隆も凛音も帰ったけど…どうした?」
席に座ったままのあたしに問いかける川口。
「あ…いや…ちょっと考え事してただけだ」
「悩み事か?」
曖昧にごまかすあたしに、ストレートに聞いてくる。
「悩み事なら、先生が相談のるぞ?言ってみろよ」
優しいな…川口は。
そんな川口に、あたしはいつの間にか口を開いていた。
「…進路のことについて、考えてたんだ」
「進路?」
「隆は夢を持ってる。だから夢を叶えられるような進路へ進む。でもあたしは夢がないからどこに進めばいいかわからないんだ」
夢ってなんなんだ?
わからない…あたしの夢。
夢がないなんてあきれるよな。
「……きっと、夢はあるよ」
「は…??」
「夢がない人なんていないと先生は思う。誰かしらこんな人になりたい、こんな職業につきたい…そんな夢を持ってると思うんだ」
川口……
でも、わかんないよ…
「さぁ、今日はもう帰れ」
「おう………」
見つからないんだ。
自分の夢がなんなのか。
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