8月 花火大会

10/12
前へ
/168ページ
次へ
先に沈黙をやぶったのは川口だった。 「なんだ~清美。そんなに俺と一緒にいたいのか?」 からかうかのように、いつもの笑顔でそう言った。 「そう。いたいよ」 あたしは素直に答えていた。 ヒュルルルル……バーーン!! 巨大な花火が空を彩っていた。 「だって……」 ヒュルルルル…… 「好きだから」 バーーン!!!!! 言った。ついに言った。 川口に好きだって。 「え……??」 あ~あ。戸惑ってるよ。 困ってるよ。驚いてるよ。 「清美………」 ドクン…ドクン…… 心臓がヤバイ。 もう、返事言うよな? 「清美………」 ドクドクドクドクドク ヒュルルルル…バーーン!! 「なぁ清美、もう一回言ってくれないか??」 「………は???」 もう…一回…だ…?? 「いや、花火の音で清美が何言ってるか聞こえなくて…」 はぁぁぁぁぁ??! 「ふざけんなよ!!せっかく言ったのによ……」 「ど…どうした清美?!」 「どうしたじゃねぇよ!もういいから絆創膏買いに行けよ!」 もうヤケだ。 ひとりにしてくれ~!! 「…?じゃあ待ってろよ~」 こうして川口は走ってコンビニに向かっていった。
/168ページ

最初のコメントを投稿しよう!

155人が本棚に入れています
本棚に追加