574人が本棚に入れています
本棚に追加
「ここは?」
左に長い煙突からモクモクと煙が立ち込める、年期のある建物がある。
「ふぁ~。」
大口を開けるにじいろを見て村長は笑った。
「ここは鍛冶屋だよ。農業用の道具も売ってるんだ。」
「そうなんですか…。」
見たことのない建物に戸惑うが直ぐに落ち着きを取り戻した。
「ここには、君と同じ年の男の子が弟子入りしていてね。…いつも―…。」
ドガシャーン!!
「!な、なな、何の音ですか!?」
突然建物の中から物凄い轟音が聞こえた。
思わず耳を塞ぎ、村長の後ろに身を隠す。
「はっはっ!…相変わらずだな、ここは。」
こっそりと後ろから様子を伺う。
「ちっくしょー!!何やねん!!ちょっと菓子食っとっただけやないかい!!」
中から愚痴を良いながら青年が出てきた。
作業着姿に、鍔つきの帽子を反対に被り、手にはトンカチを持っている。
「…それは問題あると思うけどなぁ…匠(たくみ)君。」
「!村長はん!…と、そちらさんは見ない顔やな?」
匠と呼ばれた青年はにじいろを覗き見る。
「あ、あの私!今日この村引っ越してきました、にじいろって言いますっ!!宜しく御願いします!」
村長の前に出て、これでもかと頭を下げる。
「元気な子やなぁ!!女の子が来てくれて嬉しいわ!」
最初のコメントを投稿しよう!