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トンカチを投げ、にじいろの両手をガッチリ掴んだ。
顔を上げると匠の顔が思ったよりも近くにあり、酷く戸惑う。
「この村なぁ、結構若い男は居るねん。けど女の子は居らんくて、寂しかったんや!」
ブンブンと力強くを両手を上下させられる。
―……ゴォオン!
「あ。」
「?どないしたん?」
にじいろ、そして村長は見た。
匠が投げたトンカチが、綺麗な放物線を描き…ちょうど出てきた老人に当たった所を。
「し、師匠…なんてタイミングで出てくんねん!…だ、大丈夫でっか?」
トンカチを脳天で受けた老人の頭には、大きなタンコブが出来ていた。
「…匠ぃいいっ…!!」
「ひ、ひいぃい!!勘弁してぇな!!」
老人は匠の首根っこを掴むと鍛冶屋の中へと引き吊り込んでいく。
「あ…あのぅ…。」
声をかけても聞く耳は持ってもらえず、二人は中へ消えていった。
そして中からは最初に聞いたときよりも激しい音が聞こえてきた。
「…次に行こうか、にじいろちゃん。」
「え、あ…はい、そうしましょう!!」
老人の名前を何となく聞きづらくて、にじいろは老人を師匠と認識した。
「次は…雑貨屋に行ってみようか。」
「雑貨屋さん…。」
「この村唯一だから、必要な物はここで揃えるといいよ。」
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