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「どうして私が貴方のヘソから生まれるんですか……。」
「シヴァの右腰よりはマシでしょう?」
「ま、まあ、確かに……。」
「んで?何で俺がてめぇのデコなんだよ。」
「良いじゃないですか。シヴァ派よりは綺麗な誕生説でしょ?」
こくこく頷くブラフマー。
シヴァは面白くなさそうだ。
「けっ、俺派の方が派手で格好いいのによ。」
「まあまあ、崇拝する神を持ち上げるのは当然の事ですよ。」
「はいはい、蓮の花から生まれて良かったな。んで?てめぇ派の誕生説はどんな話なんだよ。」
問われた途端に項垂れるブラフマー。
「き……聞かないで下さい……。」
「って、何だよ。そんなに恥ずかしい話なのか?」
ちょっとワクワクしているシヴァを、かぶりを振りながらヴィシュヌが宥める。
「シヴァ、それは聞いちゃいけません。」
「あ?何でだよ。」
チラッとブラフマーを見やり、こっそり教える。
「ブラフマー派は……無いんですよ。」
「無い?無いって何でだ?」
「ズバリ、不人気だからです。」
「ぶはっ、何だそりゃ!」
聞いた途端、シヴァがゲラゲラ笑い出す。
「ど、どうせ不人気ですよ!ああ……昔は良かった……。」
今ではすっかり人気の無くなってしまったブラフマー。
可哀想だが仕方がない。
という訳で、ブラフマー派の誕生説は無いのでした。
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