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「悪いけど、今日はサンが先約でね。
君とはまた今度、お茶でも楽しみたいよ」
ユーリがわざとらしく
申し訳ない顔を作ると、
彼女はオレに向けて殺気を飛ばした。
「そう……残念だわ。
せっかく同業者同士仕事抜きで
話せると思ったのに……」
心底残念そうに、
だが『君とお茶をする』という言葉に
嬉しくてたまらないという様子で
また今度ね、と言った。
「あぁそうだ。
ユーリ、少しの間サンを
貸してもらえないかしら?
用事を思い出したわ」
すぐに終わるから、ね?と
目の前で手を合わせて
ウィンクをしてみせた。
「構わないよ。
サン、行ってこい」
まるでペットか物のような扱いに
不満を感じながらも、
ジェニファの『お前、表出ろ』オーラに
負けてしぶしぶ付いていった。
思えば、それが間違いだった。
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