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「なんと綺麗な色をしているのだ、これなら喉の渇きも癒されよう」
言い終わるが早いか、夢中で血を啜った。
血が口に広がり、歯に舌に喉に染み渡る。
飲み込むと同時にまた啜る。
砂漠で水を節約しながら飲むようにとはいかず、ただあるだけの水をひたすら飲み続ける。
ただ。
夢中に。
本能のまま。
次第に喉の渇きは満たされ、いつ突き刺したか分からない歯を抜いた。
さっきまで活気に満ち溢れていた肌の色が、不気味なくらいに青白く、げっそりとしていた。
「バブロディア…?」
肩をゆする。
いつもなら血を抜かれたにも関わらず
「飲み終わりましたか?」
と笑顔で聞いてくるはずなのにそれをしない。
むしろピクリとも動かない。
「バブロディア?」
もう一度名前を呼んだ。
今度こそと期待を込めて。
しかし反応は変わらず何も返ってはこない。
しっかりと握っていた肩を放すとバブロディアは崩れ落ちるように倒れようとする。
すかさず手で支え、顔が見えるように仰向けに抱いた。
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