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「バブ…ロ…」
口に出しかけた名前が喉で詰まった。
見たこともない色。
弾力のあった肌にもシワが出来て、老婆を思い浮かばせた。
しかし服装だけは先程と変わらず、一部だけ赤い白衣だった。
「ど、どうしたんだ?」
「……………」
「返事を…何か、、言ってくれ…」
「……………」
「そんな、まさか、、、お前……死んだのか?…」
満たされた喉の潤いが罪悪感を生み出す。
と同時にいつもの笑顔を思い出す。
二度と見ることの出来なくなってしまった微笑み。
辿り着いた答えは“死”だった。
彼にとって、死はほぼ無縁の存在だと思っていた。
命は永遠。
狂った時間の中では、そうとさえ思った。
しかし“死”を目の前にして身がすくみ、動揺が隠せない。
熱い涙が頬を伝って流れ落ち、バブロディアの頬をまた伝う。
ヴェルは冷めていく彼女の温もりを逃がさないように、抱きしめた。
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