やまねこのなく頃に-act Ⅰ-

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「バブ…ロ…」 口に出しかけた名前が喉で詰まった。 見たこともない色。 弾力のあった肌にもシワが出来て、老婆を思い浮かばせた。 しかし服装だけは先程と変わらず、一部だけ赤い白衣だった。 「ど、どうしたんだ?」 「……………」 「返事を…何か、、言ってくれ…」 「……………」 「そんな、まさか、、、お前……死んだのか?…」 満たされた喉の潤いが罪悪感を生み出す。 と同時にいつもの笑顔を思い出す。 二度と見ることの出来なくなってしまった微笑み。 辿り着いた答えは“死”だった。 彼にとって、死はほぼ無縁の存在だと思っていた。 命は永遠。 狂った時間の中では、そうとさえ思った。 しかし“死”を目の前にして身がすくみ、動揺が隠せない。 熱い涙が頬を伝って流れ落ち、バブロディアの頬をまた伝う。 ヴェルは冷めていく彼女の温もりを逃がさないように、抱きしめた。
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