序章

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振り返ると、今まで聞こえなかった大きな雨音に気付いた。 かなり強い雨らしい…。 だが、傘をさす気にもなれず、俺はそのまま歩き出した。 さっきまで屋根に遮られていた雨が、直に身体に当たる。 冷たいとか、寒いとか、そう言う感覚はなかった。 ただ、髪の毛からたれる雨粒が鬱陶しい。 俺の前髪は、いつの間に目にかかるほどまで伸びたのだろうか。こんなことにも俺は今まで気づかなかったのだ。 まぁそれは良い。 今考えるべきことはそんなことではないはず。 そう…今考えるべきは今夜どこで過ごすかと言うことだけだ。 補導されないような場所。 公園でも意外と見つからないが、雨に濡れたままベンチなんかに座っていようものなら通りかかった人達に不信に思われる。
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