怠惰と興奮

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左奥に長男、右奥に次男、右手前には妹がいる。 長男、アズエル。僕よりも明らかに真っ白な羽と、肩につくほど長いプラチナの髪を持つ、兄弟で一番魔力の強い兄。 彼は朝食を終え、ほぼ空のコーヒーを横に残り少ない新聞を読んでいた。 次男、エーエル。彼の羽は薄く灰がかっている。髪もずいぶんと灰色に近い白、瞳は兄弟の中で一番濃く澄んでいる兄。 彼はがさつ(に見えるが一流のマナーで)な仕草で食事をしている真っ最中だ。 末っ子、アニエル。ウェーブの髪をツインにした、長男によく似、また次男に雰囲気がよく似た、とても大切で愛しい妹。 ひととおり兄妹を確認してから席につく。 「おはようございます、アズ兄、エル兄、アニー。」 兄弟をあだ名で呼ぶのは亡き母の決めたルール。 呼べばみんな顔をあげ一様に「おはよう、フズ。」と僕を呼んだ。 僕が座れば入れ替わるようにアズエルが席を立った。 優しそうな笑みで僕の髪を撫でる。「いってくるよ。」と兄は上着を着て出て行った。 真っ白な制服は天使軍でも偉いものの着るものだ。 隊長クラス、と言えばはやいだろうか。 その服を身にまとい兄は出て行く。 少し、エーエルの眉間に皺が寄っていた。
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