第一章 奇妙な体験

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「おーい!嵐―!迎えに来たぞ。学校行こうぜ!」 突然の声に二人はハッとして、声のするほうを見た。 そこには、嵐の幼馴染兼親友の――斎賀流(さいがながれ)がいた。 斎賀家は天聖学園を始めとし、いろいろな分野に幅広く君臨するこの国でトップの企業である。 そこの次男の流だが、どうやら性に合わないらしく自由奔放にやっている。 「流!庭にいる。」 嵐が返事をすると、「おじゃましまーす」と言う声が聞こえたと思ったら、もう庭まで来ていた。 「おはよう、嵐。なんかあったのか? 難しい顔してるぞ?」 「おはよう、流。 いや、何にもないぞ。」 嵐は若干引きつったような笑いになり、誤魔化そうとしたが小さい頃から一緒にいるせいか、流は嵐の微妙な変化を見逃さなかった。 「…うそだな。 まあいい。学校に行きながらでも話は出来るからな。 とりあえず、学校に行くぞ。カバンとってこいよ。」 流はそう言うと、嵐の背中を押してカバンを取りに行かせた。
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