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その間庭には流とケルの二人になったが、急に流がケルのほうを向き、ケルの目線と同じ高さにしゃがみ込んだと思うと、いつもより低い声でケルに囁いた。
「…ケル。ご主人様は守ったのだろうな?」
(えっ…?)
ケルは一瞬、流から立ち上った神気(しんき)にハッとして流の顔を見た。
「どうしたケル?
腹でもへってるのか?」
いつもの柔らかい雰囲気の流だったので、ゼウスが現れたせいで過敏になっているのだろうと言い聞かせ、深くは考えなかった。
そして数分後、流とケルがじゃれていると、嵐がカバンを取って帰って来た。
「流、準備できたから行くか。」
「そうだな。ん?
やばいぞ嵐、15分になっている!
遅刻するぞ!走れ~!」
「それはまずいな。
久しぶりに走っていくか。
じゃ、ケル行って来る。
留守番頼んだぞ。」
そう言うと、二人は勢いよく玄関に向かって走っていった。
ケルは二人を見送りながら、頭の中でさっき起こった状況を整理しようと、小屋の中に入って行った。
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