第一章 奇妙な体験

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その間庭には流とケルの二人になったが、急に流がケルのほうを向き、ケルの目線と同じ高さにしゃがみ込んだと思うと、いつもより低い声でケルに囁いた。 「…ケル。ご主人様は守ったのだろうな?」 (えっ…?) ケルは一瞬、流から立ち上った神気(しんき)にハッとして流の顔を見た。 「どうしたケル? 腹でもへってるのか?」 いつもの柔らかい雰囲気の流だったので、ゼウスが現れたせいで過敏になっているのだろうと言い聞かせ、深くは考えなかった。 そして数分後、流とケルがじゃれていると、嵐がカバンを取って帰って来た。 「流、準備できたから行くか。」 「そうだな。ん? やばいぞ嵐、15分になっている! 遅刻するぞ!走れ~!」 「それはまずいな。 久しぶりに走っていくか。 じゃ、ケル行って来る。 留守番頼んだぞ。」 そう言うと、二人は勢いよく玄関に向かって走っていった。 ケルは二人を見送りながら、頭の中でさっき起こった状況を整理しようと、小屋の中に入って行った。
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