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「おはよう嵐。
今日も眠れなかったのか?」
と心配そうに聞いてくるのが兄の海斗である。
「おはよう。父さん、兄さん。
二人とも今日は早いな。」
そう答えながら席に着く。
「お前こそ、俺よりも熱心に鍛練するよな。
お前に当主を譲って隠居するのも悪くないな~。
どう思う?海斗?」
「…父さん。
まだ高校生の嵐に面倒くさい事を押し付けて、自分が楽をしようとしてるのが見え見えですよ。」
呆れたように言う海斗。
そんな風景を俺と母さんは微笑ましく思いながら聞いていた。
(この他愛ない幸せが続けばいいな…)
など、最近の高校生は考えないかもしれないが、俺は心の底から思った。
そのときには、漠然と自分の運命が変わる事を感じ取っていたのかもしれない。
…この日常が終わりを告げる事を…。
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