第一章 奇妙な体験

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二人のやり取りを呆然として見ていた嵐だが、 (ケルベロスにゼウス?何故だ?懐かしい感じがする呼び名は…。 それに…… 冥王ハデス…。) そこまで考えると、嵐はハッとして我に返り、愛犬…今は人型のケルを見た。 「ケル……だよな?」 ケルは人化を解いて元の犬の姿に戻り、嵐に話しかけた。 「…嵐。驚いただろう?」 ケルは申し訳なさそうに聞いた。 「…ああ、正直驚いた。」 そういいながら、嵐はケルの頭を優しく撫でてやる。 「おれのこと…怖くないのか? 急に犬が人に化けたんだぞ…。」 頭を撫でてもらいながら、ケルは少し怯えた感じで聞いた。 すると嵐はケルを撫でている手を止め、ケルの顔を優しく包むように持ち、真剣な眼差しでケルを見た。 「なぜ?俺がお前の事を怖がるんだ?? さっきの話からすると、お前は今まで俺の事を守ってくれていたのだろう? 感謝こそするが、怖いなどとは思わない。」 「…嵐。ありがとう。」 そう言った、ケルは泣いているように思えた。
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