218人が本棚に入れています
本棚に追加
二人のやり取りを呆然として見ていた嵐だが、
(ケルベロスにゼウス?何故だ?懐かしい感じがする呼び名は…。
それに……
冥王ハデス…。)
そこまで考えると、嵐はハッとして我に返り、愛犬…今は人型のケルを見た。
「ケル……だよな?」
ケルは人化を解いて元の犬の姿に戻り、嵐に話しかけた。
「…嵐。驚いただろう?」
ケルは申し訳なさそうに聞いた。
「…ああ、正直驚いた。」
そういいながら、嵐はケルの頭を優しく撫でてやる。
「おれのこと…怖くないのか?
急に犬が人に化けたんだぞ…。」
頭を撫でてもらいながら、ケルは少し怯えた感じで聞いた。
すると嵐はケルを撫でている手を止め、ケルの顔を優しく包むように持ち、真剣な眼差しでケルを見た。
「なぜ?俺がお前の事を怖がるんだ??
さっきの話からすると、お前は今まで俺の事を守ってくれていたのだろう?
感謝こそするが、怖いなどとは思わない。」
「…嵐。ありがとう。」
そう言った、ケルは泣いているように思えた。
最初のコメントを投稿しよう!