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「そうなんですか。ホラーですから……お化け屋敷のようなモノ、ですか?」
怪訝そうに問いかける長谷川さんに、俺は張り切って口を開いた。
「そうみたいです。結構怖いって有名で、お化けから妖怪からいっぱい出てくるそうなんですが……」
一旦切って、わくわくしながら続けようとすると
「本物も出るって噂なんですよー」
あまりにもあっさりと言ってのけた蜜葉に、思わず『バカ!!』とか何とか言いたくなった。
へぇ…と関心している長谷川さんに見えないように、俺はがっくりと呟く。
「……蜜葉……」
「何よ?」
「俺が……俺が説明してんのに……」
蜜葉がにっこりと笑った。――あ、確信犯かコノヤロウ。
「だってあまりにも張り切ってるから面白くて」
……さ、最悪だ。
「ん?どうしたんですか、楠さん」
不意に長谷川さんの声が聞こえて、前を見る。
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