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顔を真っ青にしてガタガタ震えている 千尋ちゃんが目に止まった。 「……あ、千尋は お化け屋敷苦手だっけ」 蜜葉が呟く。 俺はガリガリと頭を掻いて、 恐る恐る提案した。 「行くの、やめる?」 「あ、いやそんな! 大丈夫だよ怖くないもん!」 そう強がる千尋ちゃん。 「へぇ……?」 長谷川さんの声音が変わる。 優しげなものから、 意地悪そうなものへ。 「じゃあ怖いの、 堪能しましょうね……?」 「うっ……」 千尋ちゃんのたじろぎ方は 明らかに怖くてするそれだと思う。 「お化けや妖怪がたくさんいて?」 「あ……っ」 「暗くて不気味で?」 「うわぁ……!」 にっこりと運転しながら微笑む彼は、 鬼畜そのものでしかなかった。 「もちろん1人でも大丈夫ですよね?」 「ちょ、それは……」 「あれ?怖いんですか……?」 「……っだ、大丈夫です!」 「楽しみですね、楠さん」 あまりにも容赦のない一言に、 俺は苦笑いをするしかなかった。 .
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