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「……大丈夫?」
「うん。マシになってきた」
15分くらい経つと、気分は回復へと向かった。
そう言えばジェットコースターはあまり好きじゃなかったなと思い出す。
そうか、これだからか。
「……ごめんな、こんな情けない奴で」
俺が呟くと、蜜葉はクスリと微笑んで言った。
「そんな、何を今更」
がくりとしていると、彼女がクスクス笑ったまま俺の頭を撫でる。
「そんなあんたが好きだからいーの」
……好き、と言ってくれるのは嬉しいことこの上ないのだが。
さらっと言われると、どう反応すればいいのか本当に困る。
「……12時半までまだ時間あるよね。どっか行こうか」
「……ん、そうね」
蜜葉がふいっと俺から顔を逸らした隙に周りに誰もいないか確認する。
近くにアトラクションがなく、しかも木陰なので大丈夫そうだ、と俺は蜜葉を呼んだ。
「ん?――……」
唇を重ねると、最初は驚いていたものの途中で瞳を綴じて俺のキスにそっと応えた。
「……不意打ちとか卑怯じゃない?」
やがて、離れると彼女が言う。
「だって人がいないうちにしないと」
「いいじゃない。何なら遊園地のど真ん中でしても」
「やめてください」
何の羞恥プレイだ。
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