住家を求めて

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「人がいるのか?」 いるならば一時の休憩をさせて貰いたい。 よし、あの家に行こう。 思わず独り言をこぼす。 「人がいなくなって少したっているようだ。」 言葉の通り、家は少々荒れていた。 家の周りの草はまばらに生えている。所によっては俺の腰ほどの高さだ。 家の屋根は茅葺きで作られた俺の時代では珍しくなった物だ。 所々に鳥が運んだのか自分で飛んで根付いたのかは解らないが草が生えていた。 近くを見渡すと草が生えていない場所も有り、そこには釣瓶式の井戸が蓋をされたまま放置されていた。 涸れ井戸で無ければ良いなと心の片隅で考えていた。 もしかしたら、この時点で俺はこの家に住もうと決めていたのかもしれない。
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