住家を求めて

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とりあえず、家に入ってみよう。 鍵は当然無く、簡単に引き戸が開く。 最初に目に付いたのは主のいなくなった蜘蛛の巣だった。 玄関の近くに生えていた草の一本を根元から千切る。 千切った草を使い蜘蛛の巣を絡みとりながら中に入る。 人がいないのは当然だが、そのわりに中はあまり極端に痛んではいなかった。 埃が1cm近く積もっているが、拭けば大丈夫だ。 茅葺き屋根の茅を何とかすれば後は掃除で何とかなりそうだ。 家具は無いが囲炉裏が有る。火を手軽に使えそうな場所が有るのが嬉しかった。 この後、家の中を探索し井戸も確認した結果、井戸は涸れていなかった。 しかも水は綺麗で飲めそうだ。 家具は殆ど無かった。唯一有ったのは台所の釜と錆びた包丁、鉈、鍬、草刈り鎌だった。 幸いにも、砥石が有ったので草刈り鎌を井戸の近くに行って水ですすぎながら研いだのでいくらかマシになった。 さて、周りの草を刈って茅葺き屋根用の茅を用意するか。
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