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風。
正面の小窓から朝日と共に差し込む大気が、俺の頬を優しく撫でていく。
……いつからこうして立ち尽くしていたのか、時間感覚は消えてしまった。
特に目的はない。
けれど、手持ち無沙汰な視線が自然と辺りを見渡す。
子供部屋程の大きさで仕切られた白を基調とした壁に、明かりをもたらす小さな窓が1つ。
小綺麗に片付いた勉強机と、一番の面積を占めるベッド。
それが、この部屋を構成している全てだった。
殺風景。それが当てはまる最も適当な日本語であろう。
だが何てことはない--ここはいつもの、自分の部屋だ。変わった所などありはしない。
不思議だ。
俺はただいつものように階段を上がって、いつものようにこの部屋のドアを開けたはずなのに。
どうして我を忘れて立ち尽くしていたのか。
そんな事を考えていると、いつの間にか机の前まで足を運んでしまっていた。
ふと目線を落とすと、その机の上に木製のドアプレートが置かれてある。
『天気快晴(あまき かいせい)専用部屋!他人は入室厳禁!』
……無意識のうちに笑ってしまった。
我ながら下手くそな字だな。
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