~prologue~

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『はしがき』 1ページ目はほぼ白紙だったが、隅の方に後から書き加えられたと見られる数行が目につく。 『この度「彼」の日記を担当することになりました私雨流水南は、まずこの「計画」において彼の研究から手を付けました。』 この本の見栄えに合った、生真面目な字体だ。 『私が直接接触した後はもちろん、彼の幼少期までを徹底的に調べ上げました。ですから、この本は日記といえど前半は私の研究と推測の結果ということになります。』 俺って研究されてたのか? 『第一部は「彼女」と出逢った幼少期を、第二部は他の「鬼神」達と出逢った少年期を、そして第三部は彼の青年期である現在を綴りました。』 幼年期とか青年期とか頑張ればワープ進化も夢じゃないかも。 『……この成果が、我が「お家」のためになることを心より願って』 これで全部、か…… はしがきを読み終えた俺の指先は、次のページをめくる動きのままで固まっている。 この先は、簡単にはめくることが出来ない。 そこには、俺が自分で自分の頭から消去した「過去」が眠っているから。 けれど、戻ることもしたくないし、出来ない。 ……ここから先は、本の中のお話。 彼女から見た、俺のお話。
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