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妻を、そして新たな命を守り抜くと誓っていたから。
医師はそれを見て満足げに頷くと、彼をカーテンの中へと導きました。
「……申し訳ないが我々には手が及ばず、全く理解できませんでした。」
「……グズッ…ァウ、バァ~」
そこのベッドに気持ち良さげに沈んでいる、1人の赤ん坊。
間違いなく、愛しの我が子。
ですが。
「こ、これは……」
その子には、見るからに人間と違う形がありました。
「……角…か?…」
本来なら抱きしめて包み込む柔らかな額の先に、小さな突起が存在しているのです。
「これが何であるかは全くの謎です。そしてこの角には……触れる事が出来ないのです。」
「触れる事が出来ない?」
男が聞き返すと、医師は黙って試して下さいと言わんばかりに赤子を指し示します。
その手に導かれるまま彼は、恐る恐る突起へと手を伸ばしました。
--ヒュオッ
「なっ!?」
ですがそこへ伸ばした手は、赤子に触れる前に「何か」に遮られた感覚を彼へと伝えてきました。
届かないのです。
目には見えない「何か」のせいで、我が子の肌に触れる事が叶わないのです。
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