241人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
親に呪われている
ある日のこと
学校から帰ってくるとウチの小さい貧乏教会にパトカーが止まっていて中に警官が2人いた。
何事かと母に聞くとなんでも「秋山さん(仮名)が暴れて倒れた」との事。
近所の人が大声にびっくりして勝手に気を回して警察を呼んだらしい(そのくらいいろいろあることで有名だった。)。
そのまま秋山さんは警察に抑えられるようにパトカーに乗せられた。
親父もあとで警察に来るように言われていた。
秋山さんは45才くらいの独身のおばさんで最近、教会に通うようになった人だ。
こんなことを書くと語弊があるのだが日本で宗教に入る方は心に病気を持っていたり、社交性が低いことが多い。無宗教の人から見るとみんなでわいわいやっているように見えるが、決してそんなことはない。人知を超えた神という存在があるからこそまとまれる人たちであって、通常のルールやマナーでは浮いてしまうような人が集まってしまうこともある。
決してその人達が変人な訳ではなく、ウチの教会で言えば見えてしまう人や憑かれてしまっている人だと言っても過言ではない。
もちろん基本的にはいい人達なのは言うまでもないが・・・
秋山さんは「自分の親に呪われている」と言って教会に来た。
親父は「子を呪うような親はいない」と言って慰めたが秋山さんは呪われていると自己暗示にかかっていた。
「なぜ呪われていると思うのか」という親父の問いに「長い間、顔を見に行っていないから」と答えた。
驚いたことに秋山さんの親は生きているのだ!
呪われているなどと言うからてっきり亡くなっているのだと思っていた。
そうとなれば話は早いので秋山さんと親父と母で親御さんに会いに行くことにした。
無論、学生で信者ではない俺はお留守番だ。
最初のコメントを投稿しよう!