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そして、私たちは国王と謁見の間で対面しています。
「それで勇者殿の兄よ、私になに用かな?
そしてどの様にして我が国へ?
確か勇者殿は自分の世界には魔法技術は無かったと申していたが?」
思いの外、若く見える国王がそう聞いてきます。
外見年齢は30前後ですかね?
「一君を返してもらいにきました。
ついでにうちの弟も返してもらいたいのですが…
あと、どのように来たかは私の魔法です。
弟が知らないだけで私の世界には魔法技術は存在しますからね。」
魔法技術の有無のくだりは真っ赤な嘘ですが、それ以外は本当のことです。
「ほぉ、逃げ出した臆病者の方を迎えにきたと?
それに勇者殿がついでとはな…」
若干驚いたように国王が言います。
「逃げ出した…
一君はこの城から逃げたのですか?」
ふむ、彼の性格からしてただ臆して逃げるなんてあり得ないですね。
「そうだ、奴は召還して一週間で姿を消したよ。
今頃どこでのたれ死にしているのだろうかな?」
あざ笑うように国王がそう言います。
ふむ、さて困りましたね。
一君は居ませんか…
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