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校門に近づくと、その正面に見慣れた姿を見つけた。
「お疲れ様です、絆(キズナ)様」
燕尾服を着た品のある男が、声をかけてきた。
銀縁めがねの奥の目が、優しく微笑んでいる。
その背後に停まっている、リムジンの後部座席のドアを開けて促した。
乗り込むと、燕尾服の男は丁寧にドアを閉め、自分は助手席に乗り込んだ。
「おかえりなさいませ」
運転席から、こちらに顔を向けて言ったのは、運転手の政宗武士(マサムネ タケシ)、通称ムネさん。
昔は、F1ドライバーをやっていて“サーキットのサムライ”と呼ばれていたらしい。
前を向き直ると、静かにアクセルを踏んだ。
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