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一室のドアが開き、黒髪の少年が入ってきた。少年の肩には黄色の小鳥がとまっている。
少年は迷うこともなく真っ直ぐと進み、窓際にある椅子へと腰を掛ける。
少年が座った椅子の前には机が置いてあり、その前にはソファーがある。
黒髪の少年の後ろからはリーゼントの男がついてきていた。リーゼントの男は1人の人間を、俗に言うお姫様だっこという形で抱き抱えていた。
「では委員長……こちらに寝かせておきますので」
リーゼントの男はその人間をソファーの上に寝かせると、黒髪の少年に一礼して部屋を出て行った。
ソファーに寝かせられている人間は、藍色のサラサラとした髪をしていた。普通にしていれば、腰辺りまではあるのではないかと思われる。
少女……と言っていいのだろうか。一目見ただけならば少女のように見えるが、長く見続けてみると少年のように見えなくもないのだ。
黒髪の少年は横目で藍色の髪の人間を見てから、小さくため息をつく。
肩に乗っていた黄色の小鳥が飛び、藍色の髪の人間の近くへと降りる。
その羽ばたく音に気が付いたのか、藍色の髪の人間がゆっくりと瞳を開いた。
藍色の髪の人間が身体を起こし、右手の人差し指を小鳥へと伸ばすが小鳥はゆっくりと飛び立ち、黒髪の少年の方へと戻っていった。
小鳥の動きを追うように藍色の髪の人間の視線は、黒髪の少年へと向かっていく。
「やっと起きた? それじゃあ、君の名前を言いなよ。返答の仕方によっては咬み殺すから」
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