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「えっと……沢田綱吉です」
「リボーンだぞ」
さっきから(リボーン以外は)一歩も動いていない状態のまま、自己紹介を済ませる。傍から見たら、変な光景だと思う。
「こいつのことはツナって呼べ。その代わりオレ達も亜夢、って呼ぶからな」
達、ってことはオレもそう呼ばなきゃいけないんだろうか……。
いつもいつもリボーンが決めたことは、オレにはほとんど拒否権はないんだよなぁ……。
「…………勝手にすれば?」
冷たく亜夢ちゃ――――えっと、亜夢は言い放つ。
なんかクールな女の子だなぁ……。オレとは全然違ってさ。
「…………」
「…………」
「「…………」」
嫌な沈黙が部屋の中を包む。なんでリボーンも何も言わないんだよ。
ピンポーン
そんな空間を破るかのように玄関からチャイムの音が聞こえてくる。
リボーンに出ろ、言われたから亜夢に一礼(?)してから玄関へと向かう。
「は~い……」
「十代目ェ~!!」
扉を開ければ助けを求めるかのように獄寺君が中へと入ってきた。
何事かと思い目を白黒させていると、獄寺君は深呼吸を始めた。獄寺君なりに落ち着こうとしてるんだろう。
「ど、どうしたの?」
やっと落ち着いた(と思われる)獄寺君に向かって問い掛けてみる。
すると獄寺君はビシッと玄関……というより外を指差した。
「あの女……果たしちゃっていいですか?」
「ちょ、獄寺君!? 落ち着いたんじゃないの?」
落ち着いたかと思っていたのに、獄寺君の言ったことはいつも以上に意味が分からなかった。否、分からない訳ではないけれど……理解したくなかった。
獄寺君の言った“女”が誰なのかと、果たさなきゃいけない理由はまったく分からないけども。
オレや獄寺君の周りにいる女の子はハル・京子ちゃん・ビアンキ・クローム、あとは……母さんくらい。
ハルは獄寺君と仲が悪いけれど本気で殺そうとするほどではないし、京子ちゃんが獄寺君をそこまで怒らせることはない。ビアンキは実の姉だし、クロームは仮にも守護者。さすがに母さんはあり得ないし……。
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