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「てめぇ……十代目に無礼なことすんじゃねぇ」
よほどこの女の子のことが嫌いなのか、獄寺君は容赦無くその子を睨み付ける。
それでも女の子は澄ました顔で獄寺君と俺のことを交互に見ていた。
小さく首を傾けてみると、女の子は眉間にシワを寄せて俺から視線を動かした。う~ん、不思議な子だ。
「ま、まぁ……中に入る?」
「あ、はい……」
ドアを開けてリビングを指差せば、獄寺君は素直に頷いて女の子を無理矢理引っ張って中へと入って行った。
そこでふと思い出す。中には亜夢がいたことを。
獄寺君のことだから、亜夢とも喧嘩になりそうだし……どうしようかなぁ。
玄関でそんなことを考えていると、家の中から驚くような声が聞こえてきた。
多分だけど、亜夢とあの女の子の声だったと思う。
どうしたの、と言いながら急いでリビングへ向かう。
リビングでは獄寺君が亜夢と女の子をジッと睨むようにして見ていた。横にいたリボーンは、少し驚いたような表情をしている。
当の亜夢達は、二人で手を取り合って微笑んでいた。もしかして……知り合いだったりするのかな?
そういえば……獄寺君が言ってたな“空から落ちてきた”って。
つまり……別世界からトリップしてきたみたいな人は亜夢以外にいたんだ。
チラッと横目で二人を見れば、亜夢が安心したように「良かった~」と言っていた。なんかキャラ違くない!?
「おい、亜夢……知り合いか?」
これは同じく横目で二人を見ていたリボーンのセリフ。俺も同じようなことが聞きたかったんだよね。
「うん。友達なんだ」
「名前は?」
「――――真城りま」
リボーンが亜夢に女の子の名前を尋ねると、答えたのは亜夢じゃなくって女の子の方だった。
獄寺君の方を見てみると、獄寺君は納得するような表情でりまちゃんを見ていた。獄寺君も名前を知らなかったんだ。
「そうか。俺はリボーンだぞ」
リボーンはニヤッと笑って自己紹介をしたあと、俺と獄寺君にも自己紹介をするように促してきた。
「俺はさっき言ったから分かるよね?」
首をかしげて尋ねると、りまちゃんは一瞬を宙を見てから頷いた。
そういえば亜夢も似たような行動をしていたな。
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