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栗色の髪の少年は1人で正座をしていた。
…………いや、少年の前には赤ん坊が立っていた。
黒いスーツに身を包み、帽子を被った赤ん坊。
家には2人しかいない。
母親と居候の女性は買い物へと出掛け、ちびっこ達は公園へと遊びに行った。
「――――っつー訳だ。分かったか?」
「あ……うん」
聞きたくもなかった情報を聞かされ、栗色の髪の少年は曖昧に頷く。
なら良い、という赤ん坊の言葉を聞いて少年は立ち上がり部屋を出る。
赤ん坊が追い掛けるように部屋を出ようとすると、キッチンの辺りから大きな音が聞こえてきた。
「――――ッ!?」
階段を降りていた少年は、ビクリと肩を震わせる。
いつの間にか横まで来ていた赤ん坊と顔を見合せ、頷き合うと階段を駆け降りる。
「いったぁ――」
少年と赤ん坊がキッチンへ辿り着くと、テーブルの上で桃色の髪の少女が頭を押さえて呻いていた。
「だ…………誰!?」
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