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銀色の髪を持つ少年は、自身が忠誠を誓う少年の家へと向かっていた。
風が吹き、髪が乱れる。
そんな髪を掻き上げ、小さく舌打ちをする。
左手には忠誠を誓う少年に捧げるための生八橋を持っている。
そちらにチラッと視線を移してから、今度は深いため息をついた。
彼の今日の運勢は最悪。
今朝偶然見てしまった占いによると、だ。
占いなんか信じたりはしないが、少年も朝から嫌なことが起きる気がしていたので否定することができなかった。
空いている方の手で煙草を取り出し、口に加える。
火をつけようとライターを探すが、見つからない。
また舌打ちをして、少年は空を仰いだ。
と、普通であれば見えるはずのないものが視界に映り、少年は目を見張る。
人だ。
人が落ちてきているのが視界に移ったのだ。
反射的とでも言っていいような動きで、思わず少年は落ちてきた人を受けとめてしまった。
滑り込むようにして落ちてきた人を受けとめたためか、砂ぼこりが舞う。
砂ぼこりが消え、少年が落ちてきた人の顔を確認する。
落ちてきたのは、少女であった。
ウェーブのかかった亜麻色の髪にカチューシャを着けている少女。
少女は大きな瞳で少年を見てい…………否、睨んでいた。
「離して」
少女は少年の手を振り払うとはぁ、と小さくため息をついた。
少年は眉間にシワを寄せ、少女を睨みかえす。
「んだ……てめぇ」
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