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黒い短髪の少年は、自分の家のドアを開ける。
肩には野球用具を背負い、頬には泥がついている。
野球部である少年は、午前中に部活があったのだ。
ただいま~、と元気よく父親に声をかけ自室へと入っていく。
頬についている泥を拭い、野球用具を片付ける。
少年は少しだけ散らかっている部屋を見回し、顎に手を当てて「んー」と小さく呻きながら首を傾けると、床に落ちている本などを拾い、棚へと片付ける。
喉が乾いたな、と呟くと少年は部屋を出て行った。
お茶を飲み、少年は部屋へと戻ってくる。
勢いよく扉を開けると、少年は部屋の中を見て目を見開いた。
部屋に人がいた。
さっきまではいなかったはずの男の子が。
部屋を出る時には散らかっていた部屋が、少しだけ綺麗になっている。
部屋の中にいる男の子はメガネをかけ、緑のかかった黒い髪をしていた。
見た感じでも真面目と分かるその男の子は、少年の姿を見ると小さくため息をついた。
「お前……何処から出てきたんだ?」
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