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衣装作り
クラスメイトの藤原君はかなりおかしい。
そう気付いてから数週間が経った頃、俺の学校には学園祭が近付いていて、女子に命令されて衣装係になった俺と藤原君は学園祭の準備の為に居残りをし、せっせと針仕事を頑張っていた。
藤原君はブツブツ文句を言っていたが、やはり女子の命令には逆らえないらしく衣装を縫っている。そのうちにあたりは真っ暗になり、時計は夜9時を指していた。
「そろそろ帰ろうか」
衣装も大分出来上がり、時間も時間なので俺は藤原君に声を掛けた。だが藤原君はニタリと笑うと、
「キミはほんとに馬鹿だな」
と暴言を吐いた。ムッとして
「なにがだよ」
と言い返すと、藤原君は気味悪くニタニタ笑って
「折角夜の学校なんて御誂え向きな場所にいるのにさっさと帰るなんてバカバカしい。ホラ、行くよ」
と恐ろしいことを言い切り、俺の手を引っ張った。そこで嫌だと言えないのが俺の駄目なところで、引かれるまま俺は夜の学校の散策に出掛けた。
藤原君の進む先を見て俺は嫌な予感がした。俺の学校には旧校舎があり、図書室と視聴覚室のみが時たま使用され、それ意外は普段はあまり使われていない。故に夜なんかはかなり気味悪い。
しかも隣りには藤原君。どうしようもなく怖い。が、やはり藤原君は旧校舎に向かった。
「やっぱり帰らない?」
と一か八か声を掛けるがアッサリ無視され、藤原君は旧校舎に入って行き、俺もそれに続いた。
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