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家から都まで徒歩で数時間掛かる。
普段なら人力車でも使う所なのだが、父上が道中で話したい事があると言ったので徒歩で行くことになった。
不等比「その人は輝夜と言ってな…」
話とは母になるであろう人物の事であった。
少し気が早くないか?
~場所は変わって都~
不等比「どうだ?お前も挨拶くらいしておくか?」
礼「いや…疲れたからその辺で休んでるよ…」
何時間も同じような話を聞いてれば、そりゃ疲れるだろ…
不等比「そうか?じゃあ行ってくる!」
まるで少年のように輝夜という人の所へ走っていってしまった。
さて、団子食べながら本でも読んでるかな?
甘味所を探してフラフラしていると、何やら人だかりができていた。
礼「何だ?あんなに集まって…」
人だかりへ近付いて行くと、店主と思わしき人物が何やら叫んでいた。
「おい!食い逃げなんていい度胸してるじゃねぇか!!」
「違います!お金はどこかに落してしまったんです…」
それは妹紅より若い(幼い?)少女だった。
「金が払えねぇなら働いて返せや!!」
聞こえはいいが、恐らくこのままボロボロになるまで使われるだろう。見なかったフリなんてできるはずもない。
礼「ちょっと待った。済まなかったな、ウチの者が世話になったらしい。」
ここは多めに払っておくか。全く、俺もお人好しだな…
「これはこれは藤原様の所の者でしたか。とんだご無礼を…」
男はあからさまに態度を変えると、いそいそと店内へと姿を消した。
気が付くと、人だかりも辺りへ散っていた。
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