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呼金を鳴らし、「すみませーん」と声をかけた。 しばらく無音が続いたが、1,2分後に扉が開き、背の高い女の人が出て来た。 僕とアキヤマさんは、自分たちがナナシのクラスメートであること、ナナシの見舞いに来たことを伝えた。 女の人は「ありがとう」と笑うと、ナナシの部屋に案内してくれた。 部屋に入ると、布団にくるまって漫画を読んでいるナナシがいた。 僕らに気付いたナナシが、ヘラヘラ笑ってヒラヒラと手を振る。案外元気そうな姿に、僕は安堵した。 「なんだよお前、元気なんじゃないか」 僕は笑ってナナシに話掛けた。 アキヤマさんは黙って鞄を置くと、部屋を見回した。 「なんでアキヤマがいんの」 ナナシが小声で僕に尋ねた。僕もなんとも答えられず、「まあまあ」とわけのわからない返答をした。 ナナシの声は、小声だからというのもあるだろうが、かなり掠れていて痛々しい程だった。 見た目と違い、かなり酷いのかと心配になった、そのとき。 「ナナシ。あれ、何。」 アキヤマさんが、口を開いた。
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