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今から数年前,僕と僕の友人だった人間が、学生だったころの話。
ときは夏休み、自由研究のため、友人…仮にナナシとするが、僕はそのナナシと、「心霊現象」について調べることにした。
ナナシはいつもヘラヘラしてるお調子者で、どちらかといえば人気者タイプの男だった。
いるかいないかわからないような陰の薄い僕と、何故あんなにウマがあったのかは、今となってはわからないが、とにかく僕らはなんとなく仲がよかった。
なので自由研究も、自然と二人の共同研究の形になった。
また、心霊現象を調べようと持ち掛けたのは、他ならぬナナシだった。
「夏だし、いいじゃん。な?な?」
しつこいくらいに話を持ち掛けるナナシに、若干不気味さを感じながらも、断る理由は無かったし、僕はあっさりOKした。
そのとき僕は、ナナシはそんなにオカルト好きだったのか、そりゃ意外な事実だな、なんて、くだらないことを考えていた。
「どこ行く?伊勢神トンネルとか?」
僕は自分でも知っている心霊スポットを口にした。
しかしナナシは首を横に振った。
「あんな痛いトコ、俺はムリ」
そのナナシの言葉の意味は、
僕は今も理解ができないままでいる。何故「怖い」ではなく「痛い」なのか、今となっては確かめようがない。だが、ナナシは確かにそう言った。
話を戻すが、ナナシは僕が何個か挙げた心霊スポットは全て事々く却下した。意見を切り捨てられた僕は、いい加減少しムッとしてきたが、ちょうどそのとき、ナナシが言った。
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