目の合わない人形

2/5

401人が本棚に入れています
本棚に追加
/41ページ
学生時代、二学期も半ばに差し掛かった頃。 僕らのクラスでは、なぜか『学校の怪談』というアニメが大流行し、今更ながらオカルトブームが訪れていた。女子はこぞっておまじないなどにハマりだし、男子は肝試しに出掛けた。 僕としては、今まで友人のナナシと体験してきたことのほうがよっぽど怖かったし、当のナナシも今までの体験談を話すこともなく、いつものようにヘラヘラして皆の話を聞いていたから、何も言わなかった。 散々出まくった都市伝説にキャーキャー言うクラスメイトたちを見ていると、『知らぬが仏』って本当に名言だなあ、と思っていた。 そんなとき、唐突に声をかけられた。 「今日、俺ん家来ないか?」 それは、ヤナギと言うクラスメイトからの誘いだった。ヤナギは、親父さんが貿易だか輸入なんたらだかの会社の社長で、まあ、いわゆるお金持ちだった。 でも金持ちにありがちにな厭味がなく、むしろサバサバして皆から好かれていたし、僕やナナシも仲良くしていた。 「なんで突然?」 僕が尋ねると、 「ウチの親父が、珍品コレクター、っての?なんか不気味なモンばっか集めててさ。いわくありげな物もあるから、見に来ないかなぁと思って」 と、ヤナギは言った。すると、いつの間にかナナシが僕の隣に立っていて、 「行く行く。ぜひともお邪魔します。俺もこいつも、そうゆうの好きでさぁ」 と、僕の肩をつかんで引き寄せ、僕の意思や意見は完璧無視で誘いを受けやがった。 こうして、僕らはヤナギの家にお邪魔することになった。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

401人が本棚に入れています
本棚に追加