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「ここなんだよ。」
放課後、馬鹿デカいヤナギの家に着くなり、僕らは地下室に案内された。
地下室と言っても、じめじめした嫌な雰囲気はなく、特に怖いことが起こる予感はしなかった。正直、ナナシといると変なことばかり起こるので、来るまでは不安だったのだが。
「今日は親父いないから、まあゆっくり見てけよ」
ヤナギが地下室の鍵を開ける。なんだかんだ言いながら押し寄せていた期待感に心臓をバクつかせていると、ドアが、開いた。
「…ん?」
しかし、中には期待していたようなおかしなものはなかった。古い本や、ちょっと大きな犬の剥製、振り子時計なんかが置かれているだけだった。
「べつに珍品じゃないんじゃね?」
もっと、こう、動物の生首だとか奇形物のホルマリン漬けだとか、殺人鬼が使っていた刀だとかを想像していた俺は、なかばがっかりしながら言った。
しかし、隣に目をやると、ナナシが笑っていて僕はゾッとした。いつものヘラヘラした笑顔ではなく、あの不気味な歪んだ笑顔だった。
「まあ、そうでもないんだよ」
ヤナギはそんなナナシの様子に気付くことなく、僕の発言に答える。
「たとえばこの振り子時計。これは、どっか外国の殺人鬼の物でさ、この扉の中に殺した人間の指の骨を入れて集めてたらしいよ。こっちの剥製は飼い主の赤ん坊を噛み殺した犬らしいし、この本は自殺した資産家が首をくくるときに踏み台にしたものなんだと。」
ヤナギがスラスラと不気味な話をし出す。つまりヤナギの親父さんは、そうゆういわくつきの物をコレクションしてるわけだ。
「まあ、本当かどうかはわかんないけどさ。」
ヤナギは笑った。そのとき、
「なあ、これ、何?」
ナナシが何かを見つけた。
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