401人が本棚に入れています
本棚に追加
教科書に隠しながら手紙を書いていた僕は、ドン、と何かに背中を突かれた。
どう考えてもそれは後ろの席のナナシで、「まだ書いてるのに、催促かよ」と、僕は少しムッとしながら振り返った。
するとそこには、眉間に皺を寄せた凄まじい形相で、僕に何かを向けているナナシがいた。
手には開いたノートがあり、真ん中にデカデカとマジックで
「窓」
と書いてあった。
思わず窓を見ると、
「ひっ…」
人と、目が合った。
蛙のような体制で落下してきたその人は、顔だけをこちらに向けていた。
恐怖か苦痛か屈辱かわからない、むしろ全て入り交じったような悶絶の表情を一瞬見せて、その人は消えた。
「うわぁああっ!!!」
僕ではない誰かが叫んだ。叫んだのとほぼ同時に、ドシン、と音が響く。
しばらくフリーズしていた教師やクラスメート達も、2,3秒して騒ぎ立て、窓に駆け寄り出す。
僕はその様子を茫然と見ながら、フラッシュバックを感じていた。
最初のコメントを投稿しよう!