第1章 空を掴むその手にオレが望むものは…

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「聞いてるの?恭(キョウ)」 幼なじみ(と言いたくないのだが)の総(ソウ)の声にオレの意識と視線は舞い落ちる雪から漸く離れた。 「いや、全然」 抑揚の無い声で答えれば、総の眉間に深いしわができた。 「少しは生徒会副会長としての自覚を持ったらどうなんだい?授業もちゃんと」 アンタはオレの保護者か何かか? その言葉は飲み込んだ。 そう言ってやったらきっと、ニッコリと微笑んで「保護者だよ」と言うに決まっている。 「自覚もなにも…ちゃんとした副会長がいいんなら、オレなんか指名しなきゃよかったんじゃねぇの?」 皮肉たっぷりに言ってやった。 生徒会長は選挙で決まるのだが、後の役職は会長の任命で決まるのである。 まぁ、断ることも出来るのだが…。 「はぁ…相変わらず、君の世界は歪んだままなのかい?」 「一生歪んだままだよ」 掃き捨て、イスから立ち上がり、ひらひらっと手を振って生徒会室を出た。 .
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