最前線へ  1944.0801

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母さん、いよいよ前線に配属されたので知らせる。 ミッテルバウ=ドーラ強制収容所勤務から、やっと異動が決まった。 所属は第485砲兵大隊になる。 我がドイツ陸軍が誇る最新秘密兵器 Vergeltungswaffe 2(報復兵器第2号)の守備中隊に派遣される。 報復兵器とはヨーゼフ・ゲッペルス博士が今、盛んに宣伝している秘密兵器だ。 撃墜不能の無敵ロケット爆弾だ。 これで生意気な英国の首都を叩く… もうベルリンを空爆できないよう徹底的にロンドンを破壊し火の海にする。 これでベルリンは平和になるよ、母さん… わがドイツ帝国の大逆襲が始まるんだ! 8月末にオランダのハーグに行く。 俺は陸軍の新兵器を守って連合軍と前線で戦うことになる。 ヒトラーがSS親衛隊に砲兵大隊を仕切らせているがV2は陸軍の新兵器であってナチスのモノじゃない。 そして俺の直属の中隊は完全に国防軍だ。 それに中隊ではヘルベルト准尉殿が上司になる… オランダ進駐の時は准尉殿と常に同行してたので心強い! 准尉殿は陸軍の叩き上げだしSS骸骨親衛隊の素人士官にもハッキリ物が言える… 強制収容所では陸軍の兵士はSSの監視部隊の言いなりで非道い仕事ばかりやらされた。 だが、今度は違う! わが伝統あるドイツ陸軍主導の作戦だ。 低脳の骸骨部隊の出る幕などない。 オランダでは、やっと国防軍として前線で仕事できる! 俺は陸戦でブランクがあるが、准尉殿の推薦もあって分隊を指揮することになった。 責任重大だ! 連合軍を蹴散らして…必ずベルリンに凱旋するから… それまで母さん、空襲に気をつけて! これから寒くなるから風邪を引かないように元気でいろよ。    Auf Wiedersehen! 追記…  昨日、満24歳になったよ! 親愛なる母、ハンナへ    ハンス・シュナイダーより          1944,0801
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