悪魔たちの余談

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 約束はなくとも定期的に酒を酌み交わす仲。  話題はその日にあったこと、それから―――子どもについて。 「……僕、泣いても良いですかね? もう、泣いちゃう……」 「相変わらず、酒弱いのに飲みたがるから面倒くせぇ……。完全に酒に呑まれてるじゃねぇかよ」  酒が入ると人格が破綻するタイプの人間は強い人間からしたら絡みにくいことこの上ない。  机上に俯せで文句が絶えない辺りが一緒に杯を交わしたくない主な理由である。  強い自分が悪いのか、弱い彼が悪いのか……―――考えてもよくは分からない。 「……空海には絶対に幸せになって欲しい……」 「知ってるよ……。ずっと、見てきたんだから……」  空斗は空海のことになると途端に弱気になり弱音を吐く。  それだけ彼女に罪の意識を感じているのだろう……。  彼女が真っ直ぐに育てば育つほど空斗は責任の重圧に押し潰されそうになっていた。
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