はじめての嘘

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 曲がらない背筋、凛とした横顔は惚れ惚れしてしまう。  自分を包み隠さない生き方はただ一言……―――カッコいい。 「俺も玲奈みたいに生きられたらな……」  玲奈は弱気な台詞を吐く真也に苦笑を漏らした。  端正な顔が歪む。  言い表しようのない切なげな表情である。 「やめとけ。歪んだ人間は所詮歪んだ生き方しかできない……。お前は真っ直ぐ前だけを見ろ」  真也は首を傾げた。  玲奈の物言いに素朴な疑問を抱いたのだ。 「お前だって綺麗じゃん。歪んでる、って何だよ。人間は一人一人違って当たり前だろう?」 「……―――ぶっ、あっはははっ! あっはははっ!」  玲奈は固まった後、耐えきれずに吹き出して大笑いをした。  豪快に笑い飛ばす彼女に真也は眉を潜めた。
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