はじめての嘘

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 玲奈が声を上げて笑うことは稀である。  ヒーヒー言い終わった彼女は真也の正面に回り込み、真っ直ぐに彼を見つめた。 「サンキューな」  肩に担がれた学生カバンも、仁王立ちする学ラン姿も、彼女らしくて見惚れた。  少し照れたようにはにかんだ顔も柔らかくて、可愛らしい。  彼女は歪んでなどおらず、真也の目には彼女こそ純粋な存在としてそこにあった。 「別に……。何も特別なことは言ってない……」 「そうやって言うところがお前は特別なんだぜ?」  当たり前が特別だと言う玲奈だが真也にはよく分からない。  だって、当たり前だから。  玲奈から見れば真也はそんな奴だから友達のままで居られた。
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