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『だって一番わかりやすいかなって』
『わ、わかるワケないだろっ!//何でキ、キスなんかするんだよ!//』
『だからー、僕もシンジくんとそういうことしたいの。それぐらい好きってこと』
『そ、そういうことって…//』
『セックス』
『…!//』
渚の声色が変わった気がした。
真紅の瞳が、僕を捕らえて放さない。
『シンジくん…僕、シンジくんのこと好きなんだ。トモダチとかじゃなくて、コイビトとして』
渚はまた僕に近付いてきて、今度はぎゅっと抱き締める。
華奢な割に抱き締める腕の力は強くて、心臓の音がはっきりと聞こえる。
『なぎ…っ//』
『僕、もうガマンできない…シンジくんとセックスしたい』
『…ッ…!//』
耳元で熱を孕んだ吐息と共に、切羽詰まった声でそんなこと言われたら…
耐えられる方がおかしいと思う…//
ましてやそれが、好きな相手なら尚更だ…//
…僕はもう、覚悟を決めた。
『なぎ、さ…//』
『…シンジくん?』
『…き』
『え?』
『も、もう言わないぞ!//ちゃんと聞いてない渚が悪い!//』
『ちょ、シンジくんごめんって!もう一回~!』
『うるさい!//渚のバカっ!//』
渚への気持ちを認めてしまった安堵感と恥ずかしさで、僕はもう渚の顔を直視できなくなっていた。
とりあえずベッドに上がって枕を投げつけ、布団を被って落ち着こうと努力してみる。
…けど、逆にそれが裏目になったみたいで。
ギシ、とベッドのスプリングを軋ませて渚が上がってきた。
後ろは壁。
当然僕に逃げ場はない。
自分で袋小路に逃げ込んでしまった…//
…すると渚が布団をべろっとめくって最終確認をする。
『…シンジくん、いいの?』
『…聞くな!//バカっ!//』
それを聞いた渚は安心したのか、布団の中に入ってきた。
僕は恥ずかしくて、相変わらず渚に背を向けていた。
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