1  -繰り返される毎日-

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「自転車は頼めば綾兄、買ってくれると思う。あの人金持ってるもん」 綾兄こと“龍崎 綾都(リュウザキ アヤト)”は26歳という若さにしてそこそこに有名で大きな会社の社長。仕事内容は昔聞いたけど難しくて覚えてない。確かIT関係だったかな……。 俺の従兄にあたって訳有って綾兄の家に置いてもらってる。 兎に角そんなだから金は有ると思う。 「でも、自転車くらい自力で買える。知ってるだろ?俺、普通の高校生よりかは収入あるんだよ」 そう。俺、“一条 真織(イチジョウ マオリ)”はモデル、タレント的な事を少しやっている。おかげさまでそこそこに売れてるもんだからその辺の奴らよりかは多い収入がある。 むしろ自転車っていうか家もその気になれば買えるくらい。 「じゃあ、」 「やだ」 「!!おい、俺まだ何も言ってないぞ?」 分かってるよ。じゃあ、自力で買えよ。だろ? 「だって、自転車家に置いてたらあっという間に錆びるもん。それに俺、筋肉ないから稜みたいなスピードで自転車こげないから電車に乗り遅れる」 俺が住んでるのは海岸のすぐそこ。自転車なんか置いてたら潮風に当てられて1ヶ月もすれば錆びだらけだ。 海岸沿いの家は綾兄の別荘の中でも一番のお気に入り。 だから俺も綾兄も多少不便でも冬以外は海岸沿いに入り浸り。 冬は海辺は寒いから都心寄りの家に移動するけど。
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