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俺の言葉に姫夏は不思議そうな顔をしているが、互いに心の内は読めないのだろう。
「おーーい。荒人、居るんやろー。入るでー」
急に外から関西弁が聞こえ、廊下を歩く音が聞こえる。
俺のことを知ってる人物で、俺が居ることが分かっている。ということは姫夏が呼んだのだろう。
「あっ! 刀矢くん呼んでたのすっかり忘れてたよ」
「呼び出しといて忘れんなや」
声と同時に戸がスライドする。
そこに現れたのはタンクトップに短パン姿の少年。
みつあみにした長い後ろ髪と瞼を閉じているかのような糸目。
年は恐らく俺と同じ、身長は170ぐらいか。
体型は細身ながらも筋肉がしっかりと付いているのが見てわかる。
俺は姫夏に目配せをする。おそらく、言いたいことは伝わっただろう。
「え、えっと、この人は……」
「ああ、ええって姫夏ちゃん、ワイが説明したるわ」
姫夏が口を開いた瞬間に少年が手で制してすかさず割り込む。
そして、少年は右の親指を立て自分胸へとあてる。
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