◆異世界召喚

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少女は笑顔のままぱたぱたと手を振る。 「残念ながらウエムラ・サナエを現世に送ることは出来ないんだぁ。それはルールだからねぇ……でも、異世界にだったら行けるよぉ」 少女は暗闇の中で座ったままくるりと一回転した。 紫と青が混ざった不思議な色のワンピースの裾が揺れる。 「異世界に行ったって……意味がない」 「まぁ最後まで聞きなよぉ」 少女は座った体勢で足をぶらぶらと揺する。 ずっと思ってたけどこの子は何者? ここが天国なら神様とでも言いそうだけど、どうも天国とも思えないし。 「そうそう、ここはどこでもないよぉ。あえて言うなら時空間?」 「じ、時空間?」 現実味のない単語に俺は戸惑うことしか出来ない。 でも死んだんだから、時空間とやらに居てもおかしくないのかな、と無理やり納得。 「そう。全ての世界に通じる駅とでも思えばいいかなぁ?世界から世界に移動するときは、必ずここを通るんだよぉ」 「なんとなく理解した……」 「賢い子だねぇウエムラ・サナエ。ますます気に入ったかもぉ。でね、私はこの空間の主。時空の神、菫青童子(キンセイドウジ)。ここを通るには私の許可がいるんだぁ。キミは気に入ったから、ちょっとサービスしてあげるぅ。意味わかるかなぁ」 菫青童子と名乗った少女は小首を傾げる。 時空の神と言われても何故か素直に受け入れることが出来た。 この少女が放つオーラは、何か神的なものを感じさせる。 時空の神と言われて驚くどころかむしろ納得。 「父さんたちに会わせてくれるのか……?」
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