社員旅行-2日目-

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四人ほど集まってきて、腕を引っ張って引き上げようとしてくれる。 その中にはケイさんもいた。 「踏ん張れ馬鹿!!!!死ぬぞ!!!!」 だって足が動かないってのに踏ん張れもクソもない。 だいたい助けに来てもらっといてなんですが、あんたのが死にそうです。 と言いたいのを堪えて、足を散々ばたつかせて、嫌になるほど岩にぶつけながらなんとか引き揚げてもらった。 みんな安堵のため息をついて、気をつけろよ、と俺を小突いた。 松田は半泣きになりながら俺の顔を汚いタオルで目茶苦茶に拭いていた。 「お前突然飛び込むからびっくりしたよ」 と松田は言った。 違う、何かに突き飛ばされたんだ。 そう言おうとしたとき、気分悪そうにしながらケイさんが言った。 「足、見てみろ。」 その言葉に自分の足を見て、戦慄が走った。 俺の足首にびっしりと長い髪の毛が絡み付いていたのだ。 黒い長い髪の毛が、まるで鎖をするかのように。 「ケ、ケイさん」 「お前マジでありえねぇ。二日で何回死にかける気だ?」 吐き捨てるように言うと、ケイさんはフラフラしながら石段を登っていった。 「次やったらマジで見捨てる」 振り向き様、青ざめた顔で言われた。俺は謝るしかなかった。 松田は「キモい!!」を連発しながら俺の足首に絡まった髪の毛をちぎって捨てていた。 その後松田に水面を見て確認してもらったが、俺がみた白い腕などどこにもなかったという。 どちらにせよ、二度と東尋坊には行かないと誓った。 そんな悪夢の旅行から二週間程過ぎたとき、松田と後輩がひどく興奮した様子で何かを持ってきた。 渡されて見て見ると、それは旅行初日に踏切で撮った写真だった。 俺はゾッとした。 俺の肩越しに、何かの「目」が写っていたからだ。血走ったような生々しい目が、こちらを見つめている。 その気持ち悪さに、俺は即座に写真を捨てた。 何から何まで最低な旅行だった。 あれから一年が過ぎ、もう三か月もすればまた旅行がある。今回は俺の故郷でもある京都らしいが、頼りのケイさんのいない今、俺は参加を迷っている。 今度こそ、死んでしまう気がして。
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