9月3日

3/3
前へ
/16ページ
次へ
  作業は順調だった。 しかし、残りが五冊程度になった時、目にしたノートの名前に手が止まった。 きりやま はるき この子は確か、親御さんが亡くなったため二日後にT県の祖父宅に引っ越しすると聞いた。 普段から大人しい子で、クラスにも馴染めていないようだった。 独り言が多く、よく一人で席に座り自由帳に絵を描いていた印象がある。 徐に、絵日記の表紙を開いた。 一年生にしては、よく描けている絵。余程絵を描くことが好きなのだろう。次々とページをめくっていくが、あるページで再び手が止まった。 ――八月三日からの日記。 その日に彼の家にやって来た、「ぽち」というペットの存在。 私は何故か「ぽち」が気になり、読み進めてみることにした。  
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加